T君とビリヤードを打ちに行った日のこと。
遊び慣れていないT君を相手に、
僕は無敵状態でした。
T君は既に戦意喪失。
しかし、5試合目あたりから、
急に調子が狂いだしました。
玉を棒で突く度に、
内臓に強い衝撃が走る。
そう、ビリヤード場に行く前の、
大盛りラーメンが自分の胃への攻撃を開始してたんです。
とにかくこのままだと連勝が阻止されてしまうので、
そのビリヤード場の勝手が分からない僕は、
T君にトイレの場所を聞き、すぐに駆け込んだ。
その時です。
世にも奇妙な物語並の驚きです。
『あいつ、俺を騙しやがった…。』
そう思い、ドアを閉め、ビリヤード台に戻りました。
『おい、トイレ無かったぞ。
もう限界なんだ。お願いだから早く教えてくれ。』
額から汗が出ていて、緊急状態の僕は言う。
『いや、今おまえが出てきたところがトイレだけど。』
な、なに・・?
T君はふざけてる様子も無いし、
一切笑ったりもしていないので、
本当のことを言ってるようにしか思えなかった。
よく状況を飲み込めなかった僕は、
T君も一緒にトイレと言われてる場所まで来てもらい、
確認してもらった。
『うん、ここだね。』
また淡々とT君は言う。
な、なに・・?!
そう、それはまさに、巷で有名な、
和式トイレというやつだった。
『これ・・・どうやって使う?
座る場所ないやん。』
T君は宇宙人でも見たかのような顔で僕を二度見し、
ため息をつきながら、使い方を説明してくれた。
『な、なるほど。』
まさか座れないトイレがこの世の中に存在していたとは。
かつての古代ローマでさえ座れるスタイルだったのに。
そして、しばらくジャパニーズトイレを見つめ、
今までの自分とトイレとの歴史を振り返り、
ほんの少しだけ勇気を振り絞って挑んだ。
数分後。
『おい、T!
俺はもう二度と和式はごめんだ。』
筋肉痛になりそうな体勢で
足はつりそうになるは、
肝心のペーパーの位置も悪すぎる。
またもやT君は不思議そうに僕を見つめた。
・・・。
どうやら僕は座る向きを間違えたみたいで、
ペーパーは後ろに腕を伸ばさなければいけなかった。
そして、伸ばしても届かなかった。
たかがトイレであんなに大変な思いをしたのは、
初めてだった。
これで一つ日本人に近づけたかな?
[tagline_box backgroundcolor=”” shadow=”yes” shadowopacity=”0.1″ border=”1px” bordercolor=”” highlightposition=”left” link=”” linktarget=”_self” buttoncolor=”” button=”” title=”” description=”Playing pool is very common in the States.
(ビリヤードで遊ぶのはアメリカでは結構一般的です)
Pool = ビリヤード
プールは他に『賭け事』や『出資』の意味もある
States = アメリカ
United States of Americaの略” animation_type=”0″ animation_direction=”down” animation_speed=”0.1″][/tagline_box]