ビジネス

ゴジラの鳴き声をハリウッドが再現

“We call him… ゴジラ”

渡辺謙がはじめて謎の怪物の名前を
言うこのワンシーンがとても印象的な映画。

日本人なら誰でも知っている名作ですよね。

このセリフに至っては、
本来は台本には英語で”Godzilla”と書いてあったんですが、
渡辺謙がどうしても日本語発音にしたかったらしいです。

そこで、監督は、
「よし、わかった。
じゃー、英語版と日本語版、両方撮ろう」
という提案をしました。

ですが、渡辺謙はこれも却下。

なぜなら、
「だって、両方撮ったら、
絶対に英語の方を使うでしょう!」
と反論したらしいです(笑)

さすが、ハリウッドまで上り詰めた俳優です。

自分のこだわりはしっかりと表現し、
絶対に譲らない姿勢が素晴らしいです。

アメリカみたいな、
自己主張が大切とされている国では、
この姿勢は高く評価されますね。

 

さて、
このゴジラの鳴き声なんですが、
ちゃんと意識したことはありますか?

僕も言われるまでは意識してなかったんですが、
犬が鳴くのと同じくらい当たり前の感覚で
いつも聞いていました。

でも、
冷静に考えてみると、
ゴジラなんて生き物は存在しないし、
一体どうやって鳴き声を作ったのだろうか?

初代ゴジラの音響を担当した巨匠伊福部昭は、
現代でも語り継がれる方法で、
ゴジラの鳴き声を創りました。

それは、
コントラバスの弦に松ヤニを塗り、
その弦を革の手袋でこする、
という斬新な方法でした。

bass

弦を緩めたり、締めたりして、
鳴き声の高低音を演出し、
それらの音をミキサーで0.5倍速等にして、
鳴き声を創ったそうです。

その方法に、
今回ハリウッドゴジラの音響を担当した
Erik Aadahl(エリック・アダール)も注目しています。

彼はトランスフォーマーズの機械音も作成している、
今ハリーウッドでは最も注目されている
サウンド・アーティストです。

全てCGで作成するのではなく、
オリジナルに則って、
自然の音を使い、それを編集する道を選びました。

詳細までは明かされていませんが、
彼が鳴き声の一部に使ったのは、
・ドライアイスが鉄に触れた時の音
・岩が砕ける音

dryice

 


※1分位から見てみて下さい。

それらの音をコンピュータで編集し、
速度の調節、タイミングの調節等を行い、
最終的にハリーウッド版のゴジラの鳴き声が完成しました。

 

僕はこれを知った時、気づかされました。

「そうだ、
この世の中の全ての物は、
突然現れているわけではない。」

必ず創作者がいて、
その創作者のアイデアがあるからこそ、
物は生まれるわけです。

自分が完成したい物を想像し、
そこに辿り着くまでにどのような道を辿ればいいのか?

それをひたすら考え、
Trial and error(トライアル・アンド・エラー、試行錯誤)
を繰り返し、やっと完成するのです。

エリックだってそうです。

オリジナルを超えるゴジラの鳴き声を創りたい。
何を使えば、迫力のある鳴き声になるのか?

そこから考え、
身の回りにある何百種類のものを組み合わせ、
(ドアが閉まる時の関節部分の音等)
試行錯誤を繰り返し、完成させました。

決して一発目の組み合わせで
成功したわけではありません。

目標である「ゴジラの鳴き声」を頂点として、
すでに存在する物から推測していくというイメージです。

    A(鳴き声)
   /  | \
  B C D

このB、C、Dが
氷であったり、ネジであったり、楽器であったり
するわけですね。

このように、
高い視点から見ることによって、
それを形成している物が見えてきます。

もしくは、実験することによって、
見えるようになってきます。

 

違う例でいうと、
Appleのスティーブ・ジョブズが、
最初にスマートフォンを作ったです。

世の中に存在しないスマートフォンを
どう作っていけばいいのか?

彼は別にそこまで複雑なことをしていません。

彼が使った技術は、
世の中には既に存在していた技術です。

存在している技術の中から、
B,C,Dと必要なものを選び、
組み合わせることによって、
Aという新しいものを作り上げました。

本来組み合わさる事の無い物が、
抽象的なところで組み合わさって新しいものが出来上がる。

これを「アウフヘーベン」とも言いますね。

 

このように、既存の物が
噛み砕いてみたら何で出来上がっているのかを
解明していくのも一つの勉強になりますし、
楽しいですね。

ゴジラも、
「あー、ドライアイスと岩かー」という視点で見たら、
映画館で「へー」と頷きながら、
一人だけ現実世界に戻ってこれますよ。(笑)

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です